施工実績
高校生と一緒に内窓設置効果を実感してみよう! -長野県「生徒発 気候危機突破プロジェクト」に参画、そして視聴覚室の断熱改修工事-
高校生の探究学習・キャリア教育の支援のため、長野県の「生徒発 気候危機突破プロジェクト」に参画したことを契機に、県立須坂高等学校(1922年創立)の100周年記念事業の一環として行われた視聴覚室の壁と窓の断熱改修工事。実際に生徒たちと一緒に内窓を設置し、夏季・冬季それぞれの温熱効果や遮音効果の検証結果を基に、内窓設置による改善効果を明らかにしました。机上だけの学びだけでなく、自身の身体を使って得た学びというものは、より深い学びを得ただけではないでしょう。
気候変動危機というものが身近な「窓」やその周辺の環境改善でいかに打破できるのか・・・理解促進が図れたことで、これからの将来を担っていく生徒の中のたとえ一人でも日々の暮らし・これからの暮らしについて見つめなおす一つのきっかけになったのなら、こんなに嬉しいことはありません。
視聴覚室の窓は3カ所すべて西向きに取り付けられており、夏は30℃以上になっていたそうです。
またこの教室は自習室として生徒たちに解放されていたそうですが、“夏 暑く、冬 寒い” といった状況から利用率も低かったとお聞きしていました。
壁はよく学校の音楽室などで見受けられる有孔ボードが貼られています。無数に空いている小さな穴から音を吸収して、ボードの裏面にある空気層で響きを抑える効果があることから、先述の音楽室・視聴覚室・体育館・会議室などで用いられることが多い印象です。
窓はアルミサッシに単板ガラスが入った、馴染みのある “学校の窓” といったところでしょう。写真では二重に見えるかもしれませんが、グラウンドに面している関係から、窓の外側にフェンスが設置さております。それにしても、暖房機の多いこと・・・。
では、実際の施工過程をみていきましょう!
いざ、教室に資材を搬入!ワクワクするのは私だけでしょうか。
今回は窓と一緒に壁も断熱工事を行います。
有孔ボードの裏に見えるものは断熱材ですが、こちらの素材は気密性が高いとは言えず、また内部結露を起こすと断熱効果が激減。
窓は「学校内窓プラマードU(Low-E複層ガラス)」を取り付けるため、窓枠をふかします。
既存の壁の上から新たな断熱材「サーマックス」をはめ込みます。
「サーマックス」の断面。生徒たちがキレイに切ってくれました!断熱には気密の確保が不可欠です。
指導を受けながら内窓を取付。電動ドライバーを上手に使いこなしていました。
最後にガラスをはめ込みます。
全ての窓に内窓を取付け、壁に羽目板を貼ると外はもう真っ暗。よく頑張りました!
木をふんだんに用いた壁と木目調カラーのサッシのおかげで明るくさわやかな、また木のぬくもりを感じる心地の良い空間に仕上がりました。生徒や教職員の方々からは「雰囲気がよくなった」「落ち着いた感じがする」などといった感想を頂きました。
また、一番の目的でもあった温熱環境の違いでは、内窓を設置して得られた効果は明らかでした。冬の室温は3℃ほど高くなり、体感的にも暖かさを感じられたそうで、夏はエアコンの効きがよくなったとお喜びの声を頂きました。
この他にも、改修前後で違いを感じたのは『遮音』だそうで、内窓を設置して明らかに外の音が聞こえなくなったとか。まさに自習室としての役割が十分に果たせる環境となりました。
今やどの学校にもエアコンは必需品ですが、建物躯体としての性能はそのまま・・・という学校も多いことでしょう。時代に合わせて様々な機器のアップグレードを図ってきたように、断熱性能を高めていく必要は言うまでもありません。手軽にできる第一歩として、ガラス窓の断熱化をぜひ進めていってほしいと思います。
『YKK AP 環境白書2024』に今回の取り組みが掲載されています!